病棟の中には一部じゅうたんが敷いてあって、そこではこどもたちがおもちゃや本を取り出して
ねっころがったり、座って遊べる場所がありました。
食事の時にはそこに、こどもテーブルをいっぱい並べて、
みんなで食べていました。
夜の面会時間が終わった後、ママやパパが帰ったあと、
片付けがひと段落着いて一息ついたら
その子はトコトコっと近づいてきました。
とても口数が少なくて、ほとんどしゃべらなくておとなしくて
自己PRをしない子でした。
でも、なぜだかとても存在感がある子でした。
その子は私のひざの上に、さも当たり前のように
ちょこんと座ってテレビを見始めました。
何か言いたいことがあるのかなあ。
その子の後ろ頭のやわらかい髪がふわふわしていて、
横顔を覗き込んだら、にこにこしていました。
こういう瞬間に参ってしまうのですよ。いじらしくって。 |